■アレルギー物質/食物アレルギーでお悩みの皆さまへ! モリ・ダイニング・サプライ編
アレルギー物質含有食品の表示
近年、アレルギー物質を含む食品に起因した健康被害が発生しており、こうした危害
を未然に防ぐため、「表示」を通じて消費者への情報提供の必要が高まってきました。
平成13年4月1日から、食品衛生法の改正によりアレルギー物質を含む食品にあって
は、それを含む旨の表示が義務づけられています。
●「特定原材料」(5品目)/表示が義務付けられたもの
小麦、卵、乳、そば、落花生。
アレルギー症状を引き起こす発生件数が多く、また、アレルギー症状が重篤であり、
生命に関わることもあるため、標題の原材料を含む加工食品について、その旨を含む
表示をしなければならないもの。
●「特定原材料に準ずる食品」(19品目+1品目)/表示を奨励するもの
あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、
さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン+バナナ。
アレルギー症状を引き起こす発生件数は多くないが、過去に一定の頻度で重篤な健康
被害が見られていることから、標題の原材料を含む加工食品については、その旨を含む
表示をしなければならないもの。
*「食物アレルギーかな?」と思ったら・・・・・・・・・・・・・・・・
※食物アレルギーの専門医がいる医療機関を受診しましょう。
*加工食品に原材料をくわしく知りたいとき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
※各食品製造会社(メーカー)・販売会社の「お客さま相談窓口」や、または「アレルギー
専門窓口」まで、たずねましょう。
*アレルギー表示制度についてのお問い合わせは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●地域の保健所の食品衛生担当課
http://idsc.nih.go.jp/hcl/
●各都道府県や、保健所を設置している都市(政令指定都市・中核市・保健所政令市)
の食品衛生担当課
●厚生労働省食品安全部基準審査課調査表示係
*アレルギー表示Q&A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html
アレルギー表示とは?
■食物アレルギーとは?
食物に含まれるタンパク質の免疫学的機序を介して、じんま診・湿疹などの皮膚
症状、下痢・嘔吐・腹痛などの消火器症状、鼻・目粘膜症状、咳・ゼーゼー・呼吸困難
など、身体にとって不利益ないわゆるアレルギー症状が起こる疾患です(食中毒や
乳糖不耐症など食物そのものによる作用はのぞきます)。アナフィラキシーショッ
クを起こす人もおり、全身発赤、呼吸困難、血圧低下、意識消失など重篤な症状が
現れます。
■何のために表示されているの?
近年、乳幼児から成人に至るまで、食物アレルギーの症状を起こす人が増え、重篤
なアナフィラキシーショック症状を起こし、対応の遅れから死に至る人もいます。
そこで食品による健康被害を防止することを目的に食品衛生法が関連法令が改正さ
れ、平成14年4月以降に製造・加工・輸入された加工食品にアレルギー症状を引き起
こす物質(以下アレルギー物質)を表示する制度が始まりました。
この表示の目的は、アレルギー物質に関する情報提示をすることにより、アレルギ
ー症状が起こるのを避けることです。
■表示されるアレルギー物質とは?
表示される品目は実体調査などに基づいて見直され、平成16年に表示が勧められて
いる「特定原材料に準ずるもの」に「バナナ」が加わりました。
■表示を見るときに注意することは?
●対象となる品目(アレルギー物質)は、上記25品目に限られます。
さらに、特定原材料に準ずるもの(表示が勧められている20品目:あわび、
いか、いくら・・・)については、表示が義務付けられていないため、表示され
ていない場合があります。
●店頭での量り売りでその場で包装されるもの、注文を受けてから作られる
ものには表示されません。
たとえば、店頭で計り売りをされる惣菜、パン、注文を受けてから作られる
お弁当やレストランのような飲食店のメニューやお品書きなどです。
これは、店員にたずねることができるとの考えからによります。
●容器包装の表示面積が30平方センチ以下のものには表示されないことが
あります。
●「○○は使用していません」は、必ずしも「○○が含まれていない」ことを
意味するものではありません。
たとえば「ケーキ」は、一般的に原材料に「小麦粉(特定原材料)」を使用して
作られますが、原材料に「小麦」を使用しないで作られる「ケーキ」も考えられ
ます。この場合「小麦粉を使用していません」と欄外に表示されている場合が
ありますが、製品の中に必ずしも含まれていないわけではありません。
例えばコンタミネーションなどにより、小麦粉が混入することも考えられます。
●アレルギー物質の表示は、他の表示より文字を大きくしたり、文字の色を
変えることができるようになっています。
しかし、実際のものよりも著しく優良であると誤認させないように配慮しな
けらばなりません。
【替わりの表記について】
特定原材料 ◆代替表記◆特定加工食品(表記例)◆アレルギー表示の対象外食品例
卵 :代替表記/たまご、鶏卵、あひる卵、うずら卵、タマゴ、玉子、エッグ。
特定加工食品(表記例)/マヨネーズ、かに玉、親子丼、オムレツ、目玉焼、
厚焼玉子、オムライス、チーズオムレツ、からしマヨネーズ。
アレルギー表示の対象外食品例/魚卵、は虫類卵、昆虫卵。
小麦 :代替表記/こむぎ、コムギ。
特定加工食品(表記例)/パン、うどん、小麦粉、ロールパン、焼きうどん。
アレルギー表示の対象外食品例/大麦、ライ麦、えん麦、はと麦。
そば :代替表記/ソバ。
特定加工食品(表記例)/そば粉、そばぼうろ、そば饅頭。
アレルギー表示の対象外食品例/
落花生 :代替表記/ピーナッツ。
特定加工食品(表記例)/ピーナッツバター、ピーナッツオイル、ピーナッツ
クリーム。
アレルギー表示の対象外食品例/
乳 :代替表記/生乳、牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、
加工乳、クリーム(乳製品)、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ(乳製品)、
アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、
加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー(乳製品)、
ホエイパウダー(乳製品)、タンパク質ホエイパウダー(乳製品)、
バターミルクパウダー、加糖粉乳、調整粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料。
特定加工食品(表記例)/アイスクリーム、生クリ−ム、ヨーグルト、ミルク、
レーズンバター、バターソース、ガーリックバター、ラクトアイス、
アイスミルク、カマンベールチーズ、プロセスチーズ、ブルーチーズ、
コーヒー牛乳、牛乳がゆ、乳糖(※)、フルーツヨーグルト、ミルクパン。
※乳糖は、タンパクの残留が確認されたため、特定加工食品として扱われる。
アレルギー表示の対象外食品例/山羊乳、めん羊乳。
◆代替表記:表示されるアレルギー物質には、別の書き方も認められています。
◆特定加工食品(表記例):アレルギー物質が含まれていることが明白なときは、
アレルギー物質を名表記しなくてもよいことになっています。
◆アレルギー表示の対象外食品例:アレルギー物質と類似している食品の中には、
アレルギー物質に含まれていない食品があります。
特定原材料に準じるもの◆代替表記◆特定加工食品(表記例)◆アレルギー表示の対象外食品例
あわび :アワビ ◇煮あわび ◇とこぶし。
いか :イカ ◇するめ、焼きスルメ ◇−。
いくら :イクラ、スジコ、すじこ ◇いくら醤油漬け ◇−。
えび :エビ、海老 ◇サクラエビ、海老天ぷら
◇いせえび、うちわえび、ざりがに(ロブスター)。
オレンジ :− ◇ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、オレンジジュース
◇温州みかん、夏みかん、レモン、グレープフルーツ。
かに :蟹、カニ ◇カニシュウマイ ◇ざりかに。
キウイフルーツ:キウイ ◇キウイジャム ◇−。
牛肉(※) :牛、ぎゅうにく、牛にく、ぎゅう肉、ビーフ ◇牛脂、ビーフコロッケ、牛すじ
◇−。
くるみ :クルミ ◇くるみパン ◇−。
さけ :鮭、サケ、サーモン、しゃけ、シャケ ◇鮭フレーク、焼鮭、スモークサーモン
◇にじます、やまめ、いわな。
さば :鯖、サバ ◇さま寿司、さば節 ◇−。
大豆 :だいず、ダイズ ◇醤油、味噌、豆腐、油揚げ、厚揚げ、豆乳、納豆、胡麻豆腐、
納豆巻き、豆乳ケーキ、豆腐ハンバーグ、凍み豆腐、入り豆腐 ◇−。
鶏肉(※) :とりにく、とり肉、鳥肉、鶏、鳥、とり、チキン ◇焼き鳥、ローストチキン、
チキンブイヨン、鶏ガラスープ ◇−。
バナナ :ばなな ◇バナナジュース ◇−。
豚肉(※) :ぶたにく、豚にく、ぶた肉、ポーク
◇ポークウインナー、とんかつ、豚生姜焼き ◇−。
まつたけ :松茸、マツタケ ◇まつたけ土瓶蒸し ◇−。
もも :桃、モモ、ピーチ ◇黄桃、白桃、ピーチペースト ◇−。
やまいも :ヤマイモ、山芋、山いも ◇とろろ、長いも、とろろ汁 ◇−。
りんご :リンゴ、アップル ◇アップルパイ、リンゴ酢 ◇−。
ゼラチン :− ◇粉ゼラチン、板ゼラチン ◇−。
※牛肉・鶏肉・豚肉の内臓、皮、骨は表示の対象ではありません。
【表示の方法について】
アレルギー物質の表示にはいろいろな場合がありますが、ここではそれぞれの場合
をとりあげて、解説しましょう。
■原材料は、重量割合の多い順に表示されます。
1)個別で表示される場合の例
■個々の原材料ごとに、アレルギー物質を書く方法で、(〜を含む、〜由来)と
表示されます。どの物質に何のアレルギー物質が含まれているかがわかります。
名称:洋菓子
原材料名:小麦粉、砂糖、植物油脂(大豆油を含む)、鶏卵、アーモンド、バター、
異性化液糖、脱脂粉乳、洋酒、でんぷん、ソルビトール、膨張剤、香料(乳成分、卵を含む)、
乳化剤(大豆由来)、着色料(カラメル、カロチン)、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)
※添加物にも含まれるアレルギー物質も表示されます。
※個別表示でも重複する特定原材料等は省略される場合があります。
名称:ポテトサラダ
原材料名:じゃがいも、にんじん、ハム(卵、豚肉を含む)、マヨネーズ(大豆油を含む)、
たんぱく加水分解質(牛肉・さけ・さば・ゼラインを含む)、調味料(アミノ酸)、発色剤
(亜硝酸Na)、リン酸Na
※ハムに使用されている原材料のなかで、アレルギー物質の卵と豚肉が表示。
※マヨネーズは「特定加工食品」なので、たまごが省略されています。
2)まとめて(一括で)表示される場合の例
■アレルギー物質を原材料名の最後にまとめて一括で表示する方法です。
どの原材料に、どのアレルギー物質が含まれているかはわかりません。
詳しく知りたいときには、製造者・販売者に問い合わせましょう。
名称:幕の内弁当
原材料名:ご飯、野菜かき揚げ、鶏唐揚げ、煮者(里芋、人参、ごぼう、その他)、焼鮭、
じゃがいも、スパゲッティ、エビフライ、ポテトサラダ、メンチカツ、大根刻み漬け、
付け合わせ、(その他小麦、卵、大豆、牛肉由来原材料を含む)、調味料(アミノ酸等)、
ph調整剤、グリシン、着色料(カラメル、カロチノイド、赤102、赤106、紅花黄)、香料、
膨張剤、甘味料(甘草)、保存料(ソルビン酸K)
3)表示が省略される場合の例
■同じアレルギー物質名が何度も出てくる場合は、省略されることもあります。
■省略しない表示例
名称:ウインナーソーセージ
原材料名:豚肉、脱脂粉乳、食塩、香辛料(小麦を含む)、砂糖、しょうゆ(小麦を含む)、
酵母エキス、調味料(アミノ酸等)
■省略した表示例
名称:ウインナーソーセージ
原材料名:豚肉、脱脂粉乳、食塩、香辛料、砂糖、しょうゆ(小麦を含む)、酵母エキス、
調味料(アミノ酸等)
※香辛料にも「小麦」が含まれていますが、しょうゆに(小麦を含む)と表示されて
いるので、香辛料の「小麦」は省略されています。
※しょうゆは「特定加工食品」なので、大豆を省略し「しょうゆ(小麦を含む)」と
書いてよいことになっています。「しょうゆ(大豆・小麦を含む)」と表示され
るものもあります。
【用語・原材料の解説】
加工食品のラベルによく表示されていたり、アレルギーに関する専門用語(一部)の
解説です。お役立てください。
《原材料名》
【増粘多糖類】:草木・海藻などから抽出された多糖類。増粘剤・安定剤として使用され
ます。粘性があり菓子・ドレッシング・練り製品・アイスクリームなどに
使われます。グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン
などがよく使われています。
【乳化剤】:混ざりにくい2つ以上の液体を乳液状、またはクリーム状にする添加
物で、卵黄や大豆、牛脂などからつくられます。牛乳から作られるもの
ではありません。
【でんぷん】:多糖類の一種で、水に溶いて加熱すると糊状になります。じゃがいも、
葛、とうもろこし、小麦、さつま芋、米、サゴヤシ、キャッサバなどを
原材料に作られています。
【カゼイン】:牛乳に含まれる、主なタンパク質。熱には凝固しにくいが酸で固まる
性質があります。カゼインナトリウムは結着性に優れており、アイス
クリームやソーセージ類、お菓子、パンなどに使用されています。
【安定剤】:食の素材感・材質感の保持等に用いられます。
アイスクリームの形を保つためなどに使用されています。
【ゼラチン】:タンパク質の一種で、水溶性のコラーゲン。水に溶いて加熱したあと
冷やすと固まります。主に牛、豚、鶏などから作られ、ゼリーなどの
お菓子の他、ハム、ソーセージの「つなぎ」としても使用されます。
【レシチン】:代表的なリン脂質です。卵黄や大豆からとられ、乳化剤としてよく
使われます。
【増粘剤】:食品に粘性を与えたり、粘性の調整に用いられます。ソースや焼肉の
たれなど、粘性を増すためになどに使用されています。
【ホエイ】:牛乳に含まれるタンパク質で、酸や酵素で固めたときに残る液体の
部分(乳清)。牛乳を加熱したときに表面に生じる薄い膜はこのたんぱく
質です。
【たんぱく
加水分解物】:肉・魚・大豆・小麦・とうもろこしなどのタンパク質を、ペプチドから
アミノ酸まで分解したもの。「うまみ調味料」として使用されます。
酸分解法と酵素分解法があります。
《用語名》
【副剤】:調味料や添加物などを使いやすくしたり、安定化させるために溶かし
たり、固めたりするもの。油脂加工品やでんぷん加工品などがよく
使われています。
【キャリー
オーバー】:材料として加工品を用いた場合、それに含まれている添加物のことで、
最終製品では、それ自身の働きは失っています。アレルギー表示の
対象となります。例えばクッキーに使用されたマーガリンに含まれる
乳化剤など。
【加工助剤】:加工品を製造する過程で使用される添加物のことで、最終製品にはほと
んど残らず、残ったとしてもそれ自身の働きは失われています。
アレルギー表示の対象となります。例えば油を抽出するときに使われる
溶剤などです。
【コンタミ
ネーション】:食品を製造する際に、機械や器具からアレルゲン(アレルギーを起こす
原因となる物質)が意図せずに混入すること。
【由来】:食品や原材料を、何からできているかをあらわす言葉です。
【セールスポイント】
「人のことだ」から、「自分のことだ」にしよう。そこからいたわりが芽吹いてくるから。
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